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2012.02/12 18:07 up

プライベート・フォトジェニック

僕は写真を撮るのが苦手だ。何を撮ってもペタンとしていて、「で?」と言う感じだ。

そんなこんなで長い事、カメラと言う物体を「苦手な物」フォルダに入れっぱなしにしていたのだけれど、 フォトレタッチをガッチリやり出してからは、最低限でも写真は撮れなきゃなと思い始めた。

そんな中で、最近カメラマンの方が撮ってくれたライブ写真を目にする機会があった。 バンドをやってた頃の物だから随分前に撮られた物なのだけど、凄く思う所のある写真だった。

職業柄、色んな方に写真を撮ってもらう機会があり、著名な写真家の方から 駆け出しの方まで、様々な方のフィルターを通した自分の姿を見てきた。 見事にみんな作品性が異なっていて、面白い物だなと思ったのを覚えている。

写真に関して、僕はうまいとか下手だとかと言うのは、ある一定のラインを超えると正直分からなくなる。 ただ、そこに何か感じられる物があるかどうかと言うそれは、表現のジャンルをまたいだ物として直感出来るつもりだ。

最近僕が目にしたその写真が、他の方に撮って頂いたもの比べて、技術的にどうだと言われればそれは分からない。 ただそれは、そこに込められた愛情が緩い熱波の様に伝わりいる写真だったし、 少なくとも自分を映した写真を見てそう言う気持ちになったのはそれが初めてだった。 こんなにも愛されていたのかと、ほとんど泣いてしまいそうになりながら、 僕は動かない昔の自分の汗を笑顔を見ていた。そうか、こういう風に君には写っていたか。

小学生の頃から疑問に思っている事がある。 僕らは「同じ物」を感じているのかと言う事。 例えば、僕はトマトが苦手だ。 トマトが好きだと言ってる人と、僕が感じている味は果たして同じなのか? それを好きと思うか嫌いと思うかは主観だけの問題なのか? それともそもそも感じている味自体が違うのか?

瞳。人はさまざまな目で、人を、出来事を、時間を見る。 僕は君がトマトを食べて感じる味を知る事は出来ないのだけれど、 誰かの瞳を通してみた世界と言うのを、一枚のフィルム越しに見る事が出来るのかもしれないなと思った。 僕が歩いた軌跡を見つめる、少なからぬそう言う瞳が会った事を、 今更ではありますが本当にありがたく、暖かく思う。 遅くなってしまったけれど。本当に本当に、ありがとう。

うまく撮ろうと言う発想はもうピントが惚けている、 生命の波長を合わせて、呼吸を合わせて。 今、自分だけの目に見える物を、ただそのままに。 それだけ出来たら素敵だなと、本当に思う。

写真か。凄いもんだな、これも。

随分時間が経ってしまったのだけれど、こういう気持ちを抱かせてくれた彼女の事を本当にありがたく思う。 あれから随分経つ。きっと腕も上げた事だろう。 そう言う愛の大きさがこもった写真をいつまでも撮り続けてほしいなと切に願う。 頑張れ。オレも頑張る。

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